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2023/8/29:初稿
2023/9/10:第二稿(魚魚)
煮干しラーメンが食べたい。それも、一等濃いやつで頼む。
ラーメンと僕
僕はラーメンが好きだ。
記憶にある中で初めて食べたのは幼稚園のときだったか。マグカップに入れて作るタイプのインスタントラーメンを家で食べておいし過ぎて何度も強請った記憶がある。
おそらくそれより前にも食べているのだろうが、記憶にある中ではこれが最古のものだ。
小学校の頃には豚骨ラーメンのおいしさを知ったが、カップラーメンや袋麺を食べ過ぎないよう、あまり食卓に上ることは無かった。週に一度のラーメンが楽しみだったが、まぁいつも料理を用意している親の立場からすればあまり嬉しくない発言だったなと振り返る。
中高時代にはお小遣いでラーメンを外食で食べるようになり、フリーターになるといよいよ自由にお金を使えるようになる。
ただ、ここまで言っておいて難ではあるが、ラーメンが好きとは言っても本場博多に行きたいとか東京のしのぎを削っているラーメン屋を回りたいとかそういう欲は無く、ただ単に好きな食べ物としてラーメンがあるだけだ。
ラーメンだけに当てはまらないが、お金が自由に使えるようになると逆にそこまで使い果たす事は無くなるものだ。
しかし、これまでに様々なラーメンを食べてきた。
北海道味噌ラーメンブームもあったし、二郎系、家系のブームもあった。
魚介濃厚つけ麺が流行った時期もあった。やたら太麺のやつ。
京都っぽい背脂ラーメンが流行ったり、富山ブラックが流行ったり。懐かしい。
色々なラーメンがあるが、「そういえば深くディグっていないジャンルがあるな」とふと思い立つ。
そう、それが「煮干し」である。
煮干しラーメンを探す
僕も既にもう10代の胃袋みたいなキャパシティは持ち合わせていないので、体に優しいものが食べたい。
焼肉屋の食べ放題で元を取ろうとするフェーズはもう過ぎ去ったのだ。
便利な時代になったもので、愛知県で煮干しラーメンを検索すれば色々と出てくる。
煮干しラーメンと一口に言っても結構色々な種類がある。大雑把に分ければ「淡麗」「濃厚」の2種類だ。
淡麗
見た目は醤油ラーメン、中華そばのソレだ。
ただ、香りが煮干し。基調としては鶏ガラや昆布出汁を使っていることが多い印象だが、比率はお店による。
濃厚
煮干しを砕き入れ、スープが緑灰色になっている。出汁を引くというよりも、砕いて溶かし入れているような印象だ。
色の印象から「セメント」などと呼ばれ親しまれている。
今回僕が狙うのはこちら。煮干しの海に溺れたい気分だ。
見つかったお店
煮干し中華そば 魚魚(ぎょぎょ)
2021年に名古屋市北区にオープンした、割と新しめな「魚魚」。
名前の通り、煮干しラーメンのお店。アッサリ系からセメント系まで取り揃え、限定メニューも豊富。
一番濃いメニューは「濃厚煮干」。
こだわり麺工房 たご
名古屋市中川区にあるラーメン屋。
煮干しラーメンをメインに色々なアレンジメニューがある。
もちろん「濃厚煮干そば」もある。
拉麺 ぶらい
名古屋市緑区にある、2019年オープンのラーメン屋。
煮干がメインではなく、熟成黒醤油、淡麗金しお、濃厚鶏つけ麺、などの魅力的なメニューが並ぶ。
その中に燦然と輝くのが「極濃純にぼし」。もう濃厚さMAXなのが有り有りと浮かぶ。
①煮干し中華そば 魚魚
まずは名古屋市北区にある「魚魚(ぎょぎょ)」へお邪魔する。
いつでも年中無休というわけではないので、最新の情報はX(twitter)にて。
最近は店主と少数のスタッフのみで営業を行うラーメン店も少なくないため、どうしても営業時間・営業日にムラが出てしまう。
こちらにて営業情報及びその日のメニューラインナップのチェックも出来る。
「限定メニューがあと何杯か」とか「スープが無くなったので早めに店じまい」などの情報も載るため、行く前にチェックをした方が良い。
ランチは火~日、ディナーは火・水・金・土の営業だが、第二木曜日と第二金曜日は定休日となる。
レギュラーメニューは「煮干そば(醤油/塩)」「HV煮干」「濃厚煮干」。
- 煮干そば … 数種類の煮干と昆布のみで作った食べやすい煮干そば
- HV煮干 … 煮干しそばに濃い煮干スープを足し、煮干感を強めた煮干そば
- 濃厚煮干 … 動物系スープと煮干を合わせた苦味・えぶみのある濃厚な煮干そば 上級者向け
HVはハイブリッドらしいのだが、「ハイブリッドはhybridなのでHBなのでは」と一瞬頭をよぎる。ただ、ハイブリッド車はHV(=Hibrid Vehicle)と呼ばれる。
ただ、もちろん言うまでもなくラーメンは車ではないためHVだとよく分からなくなる。が、まぁ細かい事は良い。あまり突っ込むのも無粋だ。
そもそもHVはハイブリッドの意味ではない可能性だってある。実際の所どうなのだろうか。
この他にもつけ麺やピリ辛メニュー、創作メニューが限定メニューとして登場する。
行ってみる
名古屋市北区、メインの通りから内側に入った場所に魚魚はあった。
これは知っていないと辿り着けない立地である。
お店の前に二台分の駐車場。停めきれなければ横のコインパーキングへ。
ここに限らないが、駐車ルールを守る事は重要だ。他のお店の敷地や駐車場に迷惑をかける事の無いような駐車をせねばならない。
また、もし店外に並ぶ場合もマナーを守るようにする。
お店によっては厳し過ぎると感じるほどのルールを設けているところもあるが、もしそう感じたとしても店側も何も理由無しに制限をする事は考えられない。
そこには相応の理由が存在するはずであり、そしてそれはこれからお店を利用する者として守るべきものとなる。
店名もそうだが、暖簾からももう「ウチは煮干しラーメンで行くんで」というブレない心意気を感じる。煮干しをメインに据える度胸に頭が下がる。
オープンが2021年と新しいため、店内は綺麗。カウンターが奥まで続くだけのシンプルな店内。テーブル席は無い。
入ったら券売機で券を買うシステムだ。
HV煮干
今回頂いたのはHV煮干。
濃厚煮干も気になったが、「上級者向け」と書いてあったためヒヨる。
いや、でもほら、濃厚煮干は「動物系×煮干」なので。その点、HV煮干は「煮干×煮干」であり、僕が追い求めているものはむしろこちらなのかもと思ったわけである。
程なくして到着。
この濃い色。灰色まではいかないが、少しのグリーンを帯びたブラウンカラー。
表面には油も浮いており、あっさりというわけではなさそうだ。
トッピングは大判のチャーシュー、シャキシャキの玉ねぎ、青葱、そして穂先メンマ。
まずはスープから。
しっかりと煮干しに殴られる味わい。とはいえエグみや苦味は抑えられており、しっかりとしていながらも綺麗な煮干しの味。
激辛味の料理などもそうだが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉もあるように、やり過ぎも良くない。
その点、こちらは強烈に煮干しのチャージも出来る上に、おいしいバランスの味わいである。いわゆる「正解」の味である。
多少味が濃い目かもしれないが、ご飯にも合うし箸が進む。変に薄味よりも全然好みだ。全然ジャンルも味の系統も違うはずだが、何故か家系ラーメンを食べ進める時のようなテンション感になってしまった。刻み生玉ねぎのせいだろうか。ちなみにうずらの玉子のトッピングもあるようだ。
食べ終える頃、丼の下の方には煮干しの粉が溜まっていた。これも残さず平らげる。
使用する煮干の種類はその時によって変わり、その拘りようは常人から見ればもう変態の域だ。さすが店名が魚魚なだけある。