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でっかい肉を焼きたい、と思い立つ。
とはいえ、まぁまぁ普段からブロック肉を買っては捌き、ステーキを焼いている。
だいたい月に1回くらいだろうか。欧米基準で言えば頻度は低いだろうが、日本人基準で言えば十分な頻度だ。
この時焼いているのは200g~300g程度となるわけだが、1ポンドステーキを焼いてみたいなと思い立つ。
#1:1ポンドの重み
ポンドの馴染みの無さ
昔、ステーキハウスに食べに行ったとき、重さの表記がポンドだった。
馴染みが無さ過ぎてさっぱりイメージが湧かなかったのを覚えている。結局小さくグラム表記もあったため、単なる「本場風」の演出だったのだと思う。
「…って事は換算するとどれくらいだっけ?」ってなってしまう単位は浸透していない。
例えば1メートルは1メートルの長さだろう。30℃は30℃の暑さだ。それぞれ想像が付く。
ただ、ここで1ヤードとか60℉って言われてしまうと途端にイメージが湧かない。換算が必要になる。
℉を使う圏で生活していたり識者でない限り、60℉はもはや熱いのか冷たいのかすら分からないだろう。
ちなみに1ヤードは約0.914メートル、60℉は約15.56℃。
なお、最初に話題に挙がった1ポンドは約454gとなる。
単位の馴染み、比較、そして想像
しかし、ゴルフをやったことがある人なら、わざわざヤードやフィートをメートルに換算しないかもしれない。「300ヤードのホールか、ふむふむ」となる。
ボウリングをやる人ならボールの重さのポンドをわざわざkgで考えないのかもしれない。最初こそ比較のためにkg換算はするだろうが、「●ポンド=だいたいこれくらい」が自分の中に出来てくる。
メートルや℃は最初からこれが出来ているのである。「1メートルか、これくらいだな」とか「30℃ってことはちょっと蒸し暑いぞ」とか自分の中の基準が出来ており、「30℃ってことは他の単位に置き換えると…?」等と考える事は無いだろう。
この尺度が完成する事で、「2500mの山って登るの大変そう」とか「70℃って火傷しそう」等、実際に体験していない数値であろうと比較と想像が出来るようになる。
また、ゴルフやボウリングが例に挙がったが、界隈によっては日本国内で一般的に用いられている単位だと逆に不自由する場合があるのだ。比較と想像の連立が崩れてしまうのである。
ステーキとポンド
さて、ステーキに戻ると1ポンドというのは「お腹いっぱいになる大きさ」である。分かりやすいだろう?
わざわざグラムに換算して454gとか考えなくても良い。お腹いっぱいになる大きさ、だ。
ここ最近では国内ステーキハウスのポンド表記が増えており、イメージもしやすくなってきたように思う。
食べやすいように1/2ポンド、1/3ポンドのようなサイズも用意している場合もある。確かにあまり1ポンド丸々食べるのは日本人として一般的ではない。
なお、1/2ポンドは225gほど、1/3ポンドは150gほどとなる。ちなみに、ご家庭で焼くステーキのサイズはだいたい200gくらいだ。
日本と海外のステーキ事情
農林水産省の調べでは令和元年度の1人当たりの牛肉年間消費量は6.5kg。簡単のため1ポンドを450gとすると、ステーキ14枚強となる。あれ?意外と食べてる…?
まぁもちろんアメリカ人やウルグアイ人の方が食しているのは言うまでもなく、アメリカ人の牛肉年間消費量は1人当たり24kgほどらしい。ウルグアイ人は凄まじく、年間消費量は約46kgとなる。おいおいおい、日本人の7倍じゃん。
日本ではなぜ1ポンドもステーキを食べないかというと、好む肉質に答えがある。
日本人はサシがあればあるほど高級としており、良い肉だと認知している。サーロインが認知度が高い点からも頷ける。
対して、欧米では赤身肉を好んで食べる傾向にある。こちらはさっぱりしていて、脂が少ない。
例えば日本の和牛で1ポンドのステーキを食べようとすると、さすがに胃がかわいそうなくらい凭れてしまうと思う。逆jに海外の締まった牛肉ならば1ポンドも案外ペロッと行けてしまうというわけである。
あとはまぁ日本人が小食ってこともあり、スーパー等で1ポンドサイズのステーキカット肉を見かける事はまず無い。そもそも「家ででっかいステーキを焼こうぜ!」という需要も少ないので、精肉店でもちょっと驚かれてしまうかもしれない。
また、海外との違いとして住環境も大きい。
日本は土地が少なく、充分な庭のある家はそう多くない。
そのため、「週末は家でバーベキュー★」なんてご家庭は少ないだろう。海外はこの点でも既にステーキが身近なのだ。
日本ではステーキはどうしても特別なものという印象が強い。お祝い、ご褒美、記念――そういった印象が強く、身近ではないように思える。
#2:1ポンドの肉を手に入れる
2kgくらいの塊肉を買って捌いて食べる事はあるのだが、そういえば一度に450gも食べたことが無かったな、とふと思う。だいたい250gくらいのカットで8切れ作っていた。
「1kgや2kgをそのまま焼けばいいのでは?」というご意見が出そうだが、まずステーキとして焼くのはせいぜい2ポンドまでが限界な気がする。それ以上大きいと、どちらかというとローストビーフになってしまう。また、家のフライパンを用いる事を考えると2ポンドでもかなりツラい戦いになる予感がする。
あとはお腹の事情的にも1kg以上は厳しい。それくらいの大きさを焼いてはみたいものの、前提としておいしく戴きたい。
というわけで1ポンドの肉を手に入れるところから始める。
いつも通り、お肉の専門店「ミートガイ」にて入手する。
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僕がお肉を調達するとき、だいたいミートガイで購入する。値段、品質、品ぞろえ、それぞれバランスが取れている。
450gのブロック肉が送料別3,620円。グラム8円なので、スーパーの細切れやバラと比べれば高いのだが、まぁたまには良いでしょう。
もちろん探せばもっと安いショップはあるが、品質のブレが大きかったり処理が甘かったりする。いわゆるハズレのリスクが高まる。
#3:1ポンドの肉の準備をする
お肉が冷凍状態の場合、当日いきなり焼くというわけにもいかない。
付け合わせの材料を買ったり肉を解かしたりせねば。
付け合わせ
今回は「にんじんのグラッセ」「焼きピーマン」にした。
付け合わせの決め方
付け合わせの決め方には2つのマイルールがある。
まずは色について。
とりあえず「赤」「緑」の2色の付け合わせを用意するよう意識している。
余裕があったら「黄」を入れるのも悪くない。
赤はにんじん、パプリカ、トマトなど。緑は法蓮草、アスパラ、ブロッコリーなど。
黄色はじゃがいも、コーンなどだ。
もう1つは、味付け。
1つがこってりとしたバターソテーならば、もう一つはにんにくを効かせてオリーブオイルでシンプルに。
主役と、そして付け合わせ同士で味付けが被らないようにする事で、飽きの来ない立派な名脇役となる。
主役とキャラ被りをしたり脇役同士で役割が被ってしまっては効果半減だ。
この2点を守ることで、グッと付け合わせが決めやすくなる。と思っている。
更に、付け合わせから"旬"も感じられると楽しい。
肉を解凍する
1ポンドもあるのだ、解凍には気を使う。
温度差の激しい解凍をすると、肉は急激に縮んで肉汁が溢れていく。中が冷たいのに外は常温、という状態になると焼きムラも発生してしまい、何から何まで良くない。
氷水、流水、と色々な流派があるが、今回は冷蔵庫でゆるやかに時間をかけて解凍を行う。楽で間違いの無い解凍方法である。ただし時間が必要で、丸1日は見ておきたい。
この時、もしも包材に穴が開いていると肉汁が抜け出た時に他の食材を汚損してしまう可能性がある。バット等に乗せたり更に袋で包む等すると安心だ。
#4:1ポンドの肉を調理する
それでは調理していく。
まずは付け合わせを用意する。
メインディッシュもサイドディッシュも同時に完成するのが理想だが、中々それは難しい。
そうなれば必然的に犠牲になるのは付け合わせ。流石にメインディッシュをおざなりにするわけにもいかない。
にんじんのグラッセ
にんじんをグラッセにするだけのまっこと簡単でシンプルな料理だ。
下処理
まずはにんじんを分割する。よほどデカいサイズや小さいサイズじゃない限り、だいたい3分割が丁度良い。
料理に於いて食材の長さを揃える事は重要だ。盛り付けはもちろん、口当たりの統一感も出る。
頭の方(上部)は十字に切るか6等分しても良い。下に行くにつれ分割数を少なくしていくことで、1つ1つの大きさのバランスをとる。最終的にはもしかしたら2分割か分割しなくても良いほどかもしれない。
上から見ると三角形になっていると思うが、ここでそれぞれの頂点の角を落としていく。いわゆるオリーブ剥き、シャトー切りと呼ばれたりする面取り方法だ。
こうすることで角の細い部分がなくなり、煮崩れしにくくなる。角があるとそこをきっかけにボロボロとほぐれてしまう事がある。特に今回のように長時間火にかけて煮込む場合は面倒でもやった方が良い。
煮詰める
下処理が終わったら小鍋ににんじんを入れ、浸るくらいの水を入れる。
にんじん一本に対して、バター10g、砂糖小さじ2、塩少々くらいで調味する。
材料を全部入れたら着火、沸騰したら弱火に落として蓋をする。このまま10分ほど煮込んだらきっとにんじんが柔らかくなってきているはず。
蓋を取って、更に10分ほど煮詰める。だんだん汁気が無くなってきたら、焦げないように注意する。バターや砂糖が入っている分、気を抜くと焦げてしまう。
余裕があれば煮詰めているときに中弱火くらいにして汁をにんじんに掛けながら照りを出していく。
汁は多少残っていても大丈夫。最後まで煮詰めるとどうしても焦げが発生しやすいため、直前で止めるくらいの方が仕上がりは良い。
今回はこれくらいまで煮詰めた。
もっと煮詰めても良いが、正直もうグラッセの見た目はこれ以上変わらないし、どちらかというと焦げてしまうのが怖いので、「水分を飛ばしきる事」にフォーカスしすぎない方が良い。
焼きピーマン
旬のピーマンはシンプルに焼いていく。にんじんのグラッセがこってりとしているので、ピーマンは塩胡椒とオリーブオイルのみで仕上げる。
下処理
ピーマンを2つほど。ヘタを内部に押し込む事で丸ごとタネもヘタも取れる。
あとは縦に切れば簡単にタネもヘタも除去できる。
水洗いをして水気をしっかりと切ってスタンバイ。
焼く
フライパンにオリーブオイル小さじ1程度を熱したら、ピーマンの外側を下にして弱火でソテー。
油は敢えて少なめ。あんまり油が多いと、全部ピーマンが吸ってベチャっとしちゃう。それはそれでおいしいけど。
チリチリと音がして、良い感じに焼き目が付いたら裏返し。
このタイミングで塩、胡椒を適量。後は蓋をして蒸し焼きにしていく。
あとは好みの焼き加減にして完成。もっとカリッとさせたいなら最後は蓋を取って焼く。焦がし過ぎると付け合わせとしての色合いを損なうので、やり過ぎないように。
ステーキ
いよいよステーキを焼く。かれこれ20時間くらいの解凍をしただろうか。
お肉を室温に慣れさせる
いきなり冷蔵庫からフライパンの上に置くとお肉はびっくりしてしまう。
ステーキにストレスを与えないよう、徐々に高い温度へ慣らしていきたい。
まずはお肉を常温に慣らせる。15分くらいで良いだろう。
この隙にやる事が2つある。「筋切り」と「下味」だ。
どうしてもお肉には筋がある時がある。だいたいは脂と肉の境目にあるため、包丁で切れ込みを入れておく。外側で取り除けそうなら思い切って除去してしまうのも手だ。
筋切りが終わったら、うっすらとオリーブオイルを肉に塗り、塩胡椒で下味を付け、好みのハーブも散らしておく。
なお、今回はローズマリーとごく少量のコリアンダーパウダー、パプリカパウダーをまぶした。
お肉が常温に慣れてきたら、フライパンに牛脂を溶かす。
焼くときの油、どれにするか問題
牛脂で焼くかオリーブオイルで焼くかは、ステーキ自体の狙いたい味はもちろんだが、どういう方向性のソースを作るかで決めればよいと思う。
例えばステーキを焼いた後に牛脂のほんのり残ったフライパンなら醤油を用いたソースや和風で仕立てるのが絶品だ。ホースラディッシュなどを使ってシンプルに食べるならオリーブオイルを使った方が良い。
ついでに余談ではあるがフライパンについて。
オススメはやはり鉄フライパン。慣れるまでは大変でメンテナンスも必要なため扱いづらいが、コツを掴めばステーキとの相性は最高。持っているだけで何となく料理がデキる人っぽさを演出できるし、オススメだ。
片面を焼く
油が熱されたら火は弱火に落とす。肉を乗せたら蓋をして10分の蒸し焼きに。
なんせ今回はサイズが大きい。じっくりと調理していく。
焦らず、最高の焼き加減を目指す。
蓋をするのは、フライパン上の温度を下げないため。サウナルームのようなものだ。熱を上や横からも与えたい。
蓋が無いと熱いのは底面だけとなり、火入れに時間がかかる。2cm未満のステーキならそれでも十分だが、今回は弱火+蓋でじっくり加熱する。
裏面を焼く
さて、10分が経過したら蓋を開けてお肉をひっくり返す。
焼いた面はかなり良い色になってきているが、側面を見てほしい。まだまだ全然生っぽいのが見えるだろうか。これだと中心部はまだほぼ生だろう。
強火でやってしまうと焼いた面だけ早く焼けすぎてしまうので、この分厚さではノーグッド。
この時「下から何割くらいまでお肉の色が変わっているか」「焼いていた面がどれくらい焼き固められているか」によって裏面を時間を微調節する。
とりあえず慣れるまでは表面と同じ時間の火入れを行い、感覚を掴むと良い。
ひっくり返したら蓋をして、表面同様10分間の加熱を行う。
焼き目を付ける
表10分、裏10分の調理の後、肉を一旦取り出して火を強くしてフライパンの温度を上げる。
この時、油が少なければ温度を上げる前に追加しておく。
今度は高温で両面に焼き目を付けるのだ。なお、バチバチに油が跳ねるので注意。肉からの愛だと思って受け止めてほしい。
実はこの過程は最初にやった方が内部に肉汁を閉じ込められるのだが、先に焼き色を付けてしまうとその後の調理が難しくなり、表面を焦がしてしまうリスクが高まる。
表面は焦げているのに中はレア、という状態になりやすいのだ。これではいくら肉汁が閉じ込められていても本末転倒である。
総合的な仕上がりで考えるならば、焼き目を付けるのは最後が良い。
アルミホイルに包んで余熱を与える
調理が終わったらアルミホイルに包み、余熱で中心に熱を伝える。
ステーキにはこの工程が非常に重要。ある程度冷ます意味合いもある。
熱々のステーキを切った時に溢れる肉汁は魅力的だが、それって口に入れる前に旨みがどんどん流れ出ていることになる。
ある程度休ませて温度を下げる事で、この肉汁の流出を防ぐ。
焼き加減について
これにて調理が終了だ。不安な人はお肉を押してみると良い。ぐにゃりとしていればまだ中身は生。適度にハリがあれば火が通りつつある。
各家庭に芯温を計ることのできる器具があるとは思っていないため、この弾力で判断するのをオススメしている。
なお、親指の付け根の弾力で焼き加減を判断する手法がある。
親指とどの指でオッケーサインを作るかによって、親指の付け根の弾力は変わる。これをステーキの弾力と比較して焼き加減の目安にする、というものだ。
親指と人差し指ならレア、親指と中指ならミディアムレア、親指と薬指ならミディアム、親指と小指ならウェルダン、ということになる。
参考までに。
ソースを作る
晴れてステーキが完成。
しかし実はステーキをアルミホイルに包んでいる間にやることがある。
そう、ソース作りだ。
お肉のうまみが残ったフライパンをそのまま使うが、あまりにも油が大量に残っている場合はキッチンペーパーで調整する。約大さじ1以上の油が残っていると多いと感じる。
バルサミコ酢と赤ワインを大さじ3ずつ、醤油と砂糖を小さじ2ずつ用意する。
まずはバルサミコ酢と赤ワインを入れ、バルサミコ酢の余分な酸味と赤ワインのアルコールを飛ばすようにして煮詰めていく。
最初は臭いを嗅ぐと鼻の奥が痛くなるくらいの強烈な酸の刺激を感じるが、それらはやがて揮発していく。
臭いを嗅いでツンとした香りが穏やかになってきたころ、醤油と砂糖を入れる。
醤油と砂糖は最初から入れておいても良いが、酸味が抜けきる前に焦げてしまうかもしれない。しっかり熱を加えたい材料と焦げやすく香りを大事にしたい材料とで入れるタイミングをずらす。
ソースが当初の半分くらいの量になってほんのりとろみが付けば完成。もっとに煮詰めて粘度を高めても良いが、焦がさないように。
なお、動物由来の油(サラダ油やオリーブオイル等と違い、常温で固形)の成分が入っているため、冷ます事で粘度は高まる。
完成へ
いざ、アルミホイルをオープン。そして肉をカットする。
テーブルマナーにも色々あり、カットされていないステーキがサーブされたときは食べるときに食べる分だけをナイフで切るのが良いとされる。これはステーキに限らないが。
一方で、わざわざステーキを切るなんて手間を客人にさせぬよう、あらかじめ一口大に切ってサーブするレストランもある。客人はただ食べるだけだ。今回はどことなく江戸前を感じるこの手法に則って、先に良いサイズにステーキを切る。
ステーキの焼き加減は、僕レベルでは正直まだまだカットしてみないと分からない。カットした後に「うわ、まだ生じゃん」ってなってそこから追加で火を入れるのはちょっと無粋というか素人感が出てしまう気がする。そして僕もまた素人である。
カットして初めて成功か失敗かが分かる。そんな緊張感のある作業だ。
そしてこちらがカットした様子だ。
完璧なミディアムレア。中央に向かってグラデーションになった焼き加減は僕からすれば失敗であり、このように色がしっかりと分かれている状態こそが成功である。
これは我ながら傑作。
#5:1ポンドの肉を食べてみる
盛り付けたら完成だ。何たる眺め。
平たく盛ったライス、タンニン強めのグラマーな赤ワインとともに。
ワインは料理の色に合わせると失敗が少ないという経験則がある。ステーキには赤ワインの中でも色がどっしりと濃い物が良い。
また、和食には和の酒が合うように、その土地の料理にはその土地の酒が合うことが多い。こちらも広すぎる選択肢を絞るための一助となることだろう。
たまにはこんな贅沢な夜があっても良いじゃない。
フル・サーヴィスのお店で食べるステーキも良いが、こうして自分で焼いて食べるステーキもまた良い。
非常に贅沢で豊かなひとときが、自宅内に流れ込む。束の間ではあるが、こういったメリハリが日常にポッと灯りを点すのである。
手軽にホイホイ買えるものでは無い分、その有難みと悦びはより増すのである。裕福になればなるほど悦びに手が届く頻度は上がるだろうが、有難みは失われてしまうのかもしれない。
ゲームだっていきなり課金して最強装備で苦労なく進めても、全部クリアした後に「あー、楽しいゲームだった」と言えるだろうか。僕はある程度波乱万丈な方がゲーム性があって良いと思っている。
そうこうしているうちに、1ポンド=約450gのステーキはあっという間にお腹の中へ。
脂の少なめの赤身ステーキならば結構あっさりと食べれてしまう。ソースをくどくしないのもポイントかもしれない。サーロインだったりガーリックバターソースだったら途中で挫折していたかも。
非常に満足度が高い体験となった。